64列マルチスライスCTについて
64列マルチスライスコンピューター断層撮影装置
64列マルチスライスCTは高性能であり、一度に広範囲の部分を撮影できるため、心臓など動いている臓器を描出することができます。とりわけ狭心症の診断、心筋梗塞を予測する画期的な方法であり、早期に治療を行えば病気を未然に防ぐことができます。
従来の心臓カテーテル検査に比べ、費用や侵襲性は軽減し、息を止め時間も短く、検査時間も短時間で済むため、受診者様の負担も大幅に軽減されています。検査結果は、3D画像を作成するワークステーションを導入しておりますので、患者様にもわかりやすく結果をご説明できます。
検査紹介
当クリニックではGE社製64列マルチスライスCTを導入しており、胸部〜腹部までを、およそ3秒で撮影可能となっております。また従来のCTよりも詳細な画像が作成でき、診断能を向上させることができました。
ヨード造影剤を使用し、血管情報も表示することで、大動脈の解離や動脈瘤の発見率も、以前より向上しています。また、心臓CT検査も行うことが可能であり、心筋梗塞や狭心症の発見に大きな手助けとなっています。
CT検査の被ばく線量は、人体に影響の出る線量の『百分の一』程度であり、害はありません。どうぞ安心して検査を受けてください。不明な点は当クリニックにおります診療放射線技師におたずねください。
症例紹介
歩行などの労作時に5分程度持続する胸痛を自覚するようになるため受診。心電図検査では異常はなかったが狭心症を疑い、冠動脈CT検査を行った。
冠動脈CT検査上、左前下行枝近位部に90%の高度狭窄が確認され、重篤な急性心筋梗塞を発症の危険性があった。精査・治療目的に入院し、血管造影検査を行ったところ、冠動脈CTと同様の所見を認めた。
治療として冠動脈形成術施行、3.5mm×24mmの薬剤溶出型ステントを狭窄部に植え込んだ。狭窄部は良好に拡張され手術は成功。狭心症症状は完全に消失した。冠動脈ステント植え込み治療後、半年経過時の心臓CT検査でも再狭窄は認められず、経過良好である。
※1 冠動脈ステント植え込み治療
血管の狭窄にバルーンカテーテルを使って植え込み、血管を拡張する方法です。